「死んじゃ、駄目っ……!お母さん、お、父さんっ…、行っちゃ嫌……」


どうして、皆私を置いて死んでいくのだろうか。


「何で、何でっ………!?」


誰にも答えてもらえないと分かっていても、私は声を上げ続けた。


「置いて行かないで……、ねえ、私はっ……!」


兄妹達を見た時は一滴も流れなかった涙が、今になって滝の様に流れ出す。


「やだっ……っ、やだああぁっっっ…………!」


私は、躊躇せずに親を抱き締めた。


彼らの身体はすっかり冷たくなってしまったけれど、そんな事はどうでも良かった。


きっと、私の心も冷たくなっただろうから。


血だらけのお母さんの胸に顔を擦りつけ、彼女の傍らに横になって。


固く、固く抱き締めているのに、誰も私を抱き締め返してはくれない。


“お母さん”の面影を唯一残した彼女も、“お母さん”と同じ世界に旅立ってしまった。


思わず嗚咽が漏れる。



そして、私はお父さんの筋肉質の身体を抱き締めた。


兄妹達が揃って格好良いと言っていたその背中に腕を回した瞬間。


「ひっ、!」


何か、お父さんと違う冷たいものに手が当たった。


ゆっくり顔を上げ、彼の背中を見ると。


「っ………!」