そのまま、空き教室まで連れてこられて、じんくんの香りがするタオルで、かしかしと頭を拭かれた。

「風邪、引かないと良いんだけどなぁ…」

「あ、あの…じんくん?…その…驚かないの?」

「ん?驚いてるよ?」


いや…あの…全然そんな風には見えないんですけども…。


「はは。嘘って顔してる。でもほんと。」

そう言うじんくんの瞳には、優しさと慈しみの光がが灯っている。

乾き始めた私の頭を優しく撫でながら、更に優しく微笑む。

そのなんでもないような、優しさがくすぐったいような、心地よいような気がするけれど…。


警戒心が、心を逆撫でる。


「じ、じんくん?」

「んー?」

「も、いいよ?」

「何が?」

「そうやって庇ってくれなくても……」


最後の方は蚊の鳴くような声になってしまう。


でも、じんくんは私を撫でることをやめずに、微笑むこともやめなかった。