ある日のこと。
いつものように、二人でお昼を食べていると、じんくんがねぇねぇ、好奇心という言葉が似合うほどの笑みを浮かべてこんなことを尋ねてきた。


「ねぇ?静紅ちゃん?人を好きになるのに、いちいち理由なんかいると思う?」

「…え?」


それはどういう意味なの?
そう、聞く前にじんくんはランチボックスをカチャカチャと片付けて、楽しそうに笑う。


「…んーん。なんでもない。けど、今俺が言ったことの意味…ちょっとだけ、考えてみて?」


そう言ってから、じんくんは授業があるからと、その場を立ち去ってしまった。


人を好きになるのに理由がいるか…?
それは…ないかもしれないけど…。


なんで、今…。

私にそんなことを言うんだろう?


もしかして…じんくん…好きな人が出来たのかな…。

だとしたら、私はなんて答えたら良いんだろう…。