…好きな人と一緒にいられる…。 
それがこれほどまでに嬉しいなんて。

信じられないくらいに…幸せだ。

私はじんくんと友達になってから、花音もびっくりしてしまうくらいに、変わったらしい。


それは、闇雲に私に"好き"と言ってくる男の子が、全くいなくなったからかもしれないし…。

じんくんといる時間がただただ幸せだからなのかもしれない。


「しーずくちゃん」

「あ、じんくん。今日はあっついねー」

「んー…でも風はきもちー」


そう言って、七部袖のTシャツをまるでマジシャンのように触るじんくんは、今日も凄く格好良くて…ほぅっと見惚れてしまう。

じんくんは、イケメンだけどけして派手でチャラいわけしゃない。

爽やかで、ナチュラル系。
その言葉が1番似合うかも。


私はそんなじんくんのスッと切れた瞳が大好きで…。
少し癖のある黒髪に触ってみたい…そんな衝動に駆られる時がある。

…勿論、そんな大それたことは出来ないけれど…。


「ねぇ…静紅ちゃん?」

「んー…?」

風に身を任せてベンチで二人座っていると、そのまま時間を忘れそうだなぁ…なんてことを思っていると、不意にじんくんから声を掛けられた。


何かと思って、じんくんの方を見るとそこにはやっぱり陽だまりのような笑みを零したじんくんがいて…。


でも、次の言葉に私は軽くフリーズすることになる。