そんなある日。


沢山の男共に次々と声を掛けれ、顔を青白くしながら溜息を吐いてる彼女を見掛けた。


それは確か、今週に入ってからの出来事だけど…。
こんなにも弱っている彼女は見たことがなかった。


今ならば、声を掛けるチャンスかもしれない。
俺はわざとサークル仲間と彼女の方へ向かった。

かと言って、いきなり「こんにちは」なんて話し掛けたらただの変人か…。

そう思ったら、運良く彼女の髪に落ち葉が一片落ちて絡んだ。

俺は歩を止めた。
そして、勇気を出して声を掛ける。
まるで、何でもないことのように…にこりと笑って。


「葉っぱ、ついてるよ?」

そう言って、髪からそっと落ち葉を取ってあげると、彼女の色白の頬がほのかにピンク色に染まった。


「あ、ありがとう」


返してもらったのは、鈴のなるような綺麗な声。

あー…やっぱり、思ってた以上に…かーわい。

そんな不謹慎な気持ちを押し殺して、俺は微笑むと、


「んーん。平気。それよりなんか…さっきから困ってたみたいだけど…大丈夫?」


と、聞いてみた。
すると、悪友である大樹に俺は小突かれる。



「おまっ、ばかか!?…相手は天下の静紅サマだぞ?!」

「……静紅サマ?」

「わー…こいつめっちゃ疎い…つか天然過ぎ…」


えっと…。
静紅サマという言葉はなんとなく分かる気がしないでもないけど…。
俺は、そんなことお構いなしにきっぱりとこう言った。


「んー。よく分かんないけどさ?俺で良ければ何でも言って?なんかの役には立てるかもしれないし」


そんな俺の言葉に彼女の大きな瞳が、更に大きくなったのを見て、他の面子を見ながら俺はこんな風に彼女の素がもっともっと見たいと思ったんだ。