あの子猫はあれからどこに行ってしまったんだろうか。


また浮かぶ、謎。


なんだか最近謎だらけだな…と思いつつ、さっきゼミの友達に貰ったソーダ味の飴玉を口に放り込んだ。
そして、飴玉を口の中で転がしながら考える。



んー……。


あ。

そっか。


気になるのは…あの子猫と彼女が重なるせい。

か弱くて、繊細で、壊れそうで、儚くて…。

あの時子猫に感じたことは、全部彼女に当てはまった。


少しでも早く近付きたいのに、まだ俺達の距離は縮まらない…それどころか、俺は彼女に認識すらされていないだろう…。


それがなんだか、少しだけ…寂しいと思った。


まるで迷子の子猫のような彼女。
何時も一人で何かを背負って、懸命に過ごしてる。

その、何か…を少しでも共有出来たらいいのに…と思いながらも、まだそれは無理で。


俺は小さくなった飴玉をかりん、と噛み砕くと始まったゼミのテキストを適当に開いてから、窓の外を眺めた。