「あー…今日は、これでなんにもなく帰れるといいんだけど…」


私は、花音とその彼氏に別れを告げてから、またいつものように、キャンパス前から出ているバスに乗り込んで、家の近くの繁華街まで揺られる。

そして、とりあえず…と考える。
これから先の目標は、まず、好きな人を作ること。
…そして、出来れば20歳になる前に彼氏をつくること。


もしかしたら、無理難題なことかもしれない。


でも、ここで諦めていたら……このまま私は、この年齢にして枯れてしまうだろうから…。


「はぁ…」


憂鬱だ。
まさに、憂鬱という言葉しか浮かばない。


でも!
こんな私でも、何処かでちゃんと見ていてくれる人がいるかもれないし…。


うん。

ここは腐らずに前を向こう。


そんなことを思っていたら、降りるバス停のアナウンスが流れて、慌てて私は手元の降車ボタンを押した。


それから、またあの時みたいに誰かに声を掛けられないように、気を張って歩く。


「ふー…」


しっかり気を張っていたせいか、今日は何事もなく家まで帰ってくることが出来た。


私は玄関の姿見を眺めて、くるりんと一回りすると、1つだけ大きく溜息を吐く。


「明日も、無事に帰ってこれますように…」


いつか、このルーティンにもなった台詞を言わずにいられる日がきたらいいな…。


そう思って、私はキッチンへ行き冷蔵庫の中に、買って来た食材を詰め込んだ。