【短】君と、もう少し



淳太にキスされた…。
私の大切なファーストキス。
別にこれと言って夢があったわけじゃないけど…。
何もこんな風に奪われるなんて…こんなに冷たくて悲しいキスになるなんて…思いもしなかったから。


ゴシゴシ
ゴシゴシ


赤くなって、ヒリヒリするほど擦って、淳太の感触を少しでもなくすように、少しでも忘れられるように、私は涙を溢した。


そして、はっとする。
今日もこの後、鳴海先輩と帰る約束をしてたんだ…。
でも、こんな顔、鳴海先輩には絶対に見せられない。

……鳴海先輩に嫌われるのが怖い。


いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
こんな私は私じゃない…。

私はスマホを取り出して鳴海先輩にメールを送ると、見つからないように、走って家まで帰った。


淳太を好きだと思ってた。
何度も何度も。

だけど…それでも、淳太は私一人のものにはならない。

淳太は、けして私のものにはならない。


分かっていたことだから、何時の間にかもう諦めも付いていた。
それでも、友達としてあの心地良い距離はキープしていたかったのに…。


どうして、こうなるの?


一晩中泣いて、私は次の日学校を休んだ。