「やっ!…やめっ!」
「遥…」
そこで、鼻についた淳太とは違う香り。
私が褒めてから一度も変えることのなかった香水の中に、キツいローズ系の香りが混ざり込んでいて、気分が悪くなった…。
だから、私は淳太の腕から逃れようと藻掻く。
「なんで、だよ…」
「やめてよ!」
抱きつかれる腕に力が篭って、私は悲鳴に近い声を上げる。
「てっきり、遥は俺のこと好きだって…そう思ってたのに…」
「……っ!」
そう言って、今度こそ淳太は私の口唇にキスを無理矢理落とした。
「っ…!」
「…っ最低!」
ばしんっ
落ちてきた淳太の口唇を噛んだ後、私は思い切り淳太の頬を叩いた。
私の目からはいくつも涙がこぼれて行く。
「遥…」
「淳太のこと、確かに好きだって思ってた。でも…こんなことをする淳太なんか大嫌い!」
「遥…俺は…」
「どんな言葉も聞きたくない!最低だよ、淳太は。こんなの酷い…」
そこまで言うと、私はゴシゴシと口唇を擦ってキッと淳太を、睨んだ。
「もう二度と私に話し掛けないで…」
悲痛な声を絞り出して、すっかり力の抜けた淳太の腕から逃れ出す。
そして、私はそのまま走って廊下に飛び出した。



