みんなより一足先に上がった俺は、田代と一緒に店に向かう。


「もうすぐクリスマスですねぇ。」


華やいだ雰囲気の街を歩きながら、田代が言う。


「澤城さんは、クリスマスの予定、なんかあるんですか?」


「仕事。」


「それはわかってます。そのあとですよ。」


「特にねぇよ。お前はどうなんだよ。」


「同期と女子会します。」


「なんだ、それ?わざわざクリスマスにか?寂しい連中だな。」


「澤城さんに言われたくありません。」


なんて会話を交わしながら、会場に着いた俺達は、店のスタッフに席を確認すると、みんなを待った。


やがて三々五々、仕事を終えた同僚達が到着して来る。


石原と一緒に来るかと思った課長は、部長や隣の課長と登場。ちなみに部長が


「部の忘年会が、そこらへんのチェーン店の居酒屋なんてあり得んだろう。」


とか言うから、と言って、あんまり高いところは、他の連中からブーイングだし、場所選びに苦労させられた。


石原は内田達と登場。


「澤城くん、和美ちゃん。今日はご苦労様、よろしくね。」


そう言って、笑顔で席に入って行く。一時は随分冷たい関係になってしまったが、最近はなんかまた普通に喋れるようになったのも、考えてみたら、ちょっと不思議だ。


やがて全員揃い、部長のお疲れ様の挨拶と乾杯のあと、いよいよ宴はスタート。部長と2人の課長の席は決めたが、あとは自由席。1年の憂さを晴らすべく、大いに飲んで、騒いで下さいませ。