12月に入って、俺を待っていたのは人生初の「幹事」なる役割だった。そう、ご他聞にもれず、企画課との合同忘年会の時期となり、俺は同期の田代と共に幹事に指名された。


酒は別に嫌いなわけじゃないが、あの飲み会の席が面倒臭いというか、性に合わず、社会人になってからも、内田と大喧嘩の挙げ句に、中座した自分達の新人歓迎会が、唯一の参加実績だった。


だが、今度ばかりは、参加しないわけにはいかなくなった。まぁウチの課の不文律だと、飲み会の幹事は新人の仕事らしいから、本来なら、そんなことは許されなかったのだが、俺は変人認定されてたから、アイツじゃしょうがないということになってたようだ。


それが今回、突然のご指名。地味に課長の嫌がらせかと思ったが、どうやらかねて、俺に対する特別扱いが気に入らなかった内田あたりが、騒いだ結果らしい。


かくして、人生初の幹事を務めることと相成ったのだが


「澤城さん、大丈夫ですか?」


と田代に真顔で聞かれたのには参った。


「仕事じゃねぇんだから、そんなに心配してくんなくて大丈夫だよ。なんとかなるだろ。」


と答えたものの、いざ動いてみると、日程決め、出欠確認、更にはシーズンだけに、20人超の宴席の場所抑えも簡単でなく、なんで仕事でもないのに、こんな苦労をしなきゃならないんだと、うんざりしたが、まぁこれも仕事のうちなのかもしれないなぁ・・・。