親が違っても、血の繋がりがなくても。 黎には、大事な弟であることに変わりない。 私は胸の辺りを摑んだ。血に縛られた私の命。 ……黎がこういう人だから、すきになっていたのかもしれない。 「……お前の名前をつけたのは、馨さんなんだ」 幹に触れていた架くんの手が、少し引かれた。 黎は静かな口調で続ける。 「俺(兄)が吸血鬼の性(さが)だから、もし何かあったときのために、弟に十字架の名前をつけよう、って。お前は俺の弟だから『架』なんだよ」