「黒藤に言わせれば、俺は真紅の血を吸ってほどなくして人間になっていたということです。お互い、すぐには気づきませんでしたが……真紅が、黒藤や月御門の主に逢って、影小路のことや自分のことを知って、俺の中に退鬼師の血が流れたことで、俺への影響を心配してくれていました。……その頃は、傍にいられないと思っていました」
「私の血が、黎さんを害してしまう可能性がありましたから……。ですが、私に始祖の転生の力が戻っても、黎さんは生きてくれていました。そして、黒藤さんと白桜さんがことの経緯を突き止めてくれたんです。黎さんの鬼性を滅しただけで、命に別状はない、と。――お願いです。私は黎さんと一緒にいたいです。どうか、黎さんと付き合っていくこと、その先に結婚すること、お認めください」
半歩分身を引いて、頭を下げた。
白ちゃんに逢いに行った夜、黎に言った。
私が黎をもらいに行くって、言うって。
その言葉、今は口にすることが出来る……。



