「うん」 黎は一つ肯き、席を立った。 「行こう」 差し出した手。表情はいつも見せる柔らかいものだけど、その奥の耳だけ、やはり紅い。……かわいい……。 そんなことを思いながら、その手を取った。 手を繋ぎ、隣に立つ。……命をかけて願った場所。 「この先も……」 「? 何か言ったか?」 ぽつりと口からこぼれた言葉に、黎が見て来た。「ううん」と首を横に振った。 これは、私次第でもあることだ。言うのは今じゃない気がする。