「いえ……それに関しては、弟に今までにないくらいの勢いで説教されたので、お許しください」 架くん、また……。 最初の説教の場に居合わせてしまった私は、頭の中だけでツッコんだ。 黎と、私の同級生の桜城架くんは兄弟だけど、親が違う。 それを黎は、架くんに知られないようにしているそうだ。 二人の生家の桜城(さくらぎ)家は鬼人(きじん)の一族で、私のいる陰陽師・影小路(かげのこうじ)家は主家(しゅけ)にあたる。 黎の脳裏には、激しく叱責する架くんの言葉がうろついているようだ。