陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】


私は、少しだけ黙してから、肯いた。

それこそが、始祖の転生たちが護って来た秘密。

始祖の転生がいる理由。

「死者の血を継いだことで――黄泉(よみ)の息の入った血を持った、人外の力も得た影小路は、二大大家と呼ばれるほどの勢力を持ちました。

ですが、そのために影小路の人間はいつ『黄泉の側』に喰われてもおかしくない状況でした。私たち転生は、影小路の人間が黄泉の側に落ちないよう、そして二度と禁忌を犯さないよう、小路流を監視するために転生を繰り返しているんです」

影小路の秘密。始祖の転生だけの秘密。

「ご当主様は、泰山府君祭の成功と引き換えに陰陽師としての力を失い、普通の人間になりました。ですから、ご当主様を始祖当主とするか、生まれたご子息を始祖当主と呼ぶかは、小路内でも意見の割れて来たことでもあります」

私にとっては『ご当主様』こそが始祖当主だけど、転生を繰り返す中で見て来た。

意見はときどきによって違っていた。

「そういう風に大事な人だから、お嬢さんは俺が海雨ちゃんに告白したことを怒ったの?」