陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】


黒ちゃんの問いかけに、唇を噛んでうつむいた。

黎や澪さんだけならまだしも、黒ちゃんに隠し事は通用しないだろう。

けれど口にするのを迷っている私を見透かすように、黒ちゃんが先に言った。

「――涙雨から、真紅が海雨のことを『私のお姫様』って呼んだって聞いた。……海雨は、始祖当主の魂(たましい)だな?」

「! ―――」

黒ちゃんの指摘に、思わず肩が跳ねてしまった。

それを見逃す黒ちゃんではない。

「やはりか……」

「若君、海雨ちゃんは影小路――小路流には関係のない人ですよ?」

澪さんも困惑からか、確かめるようにそんなことを言った。

黒ちゃんは軽く息を吐く。

「始祖当主と始祖の転生は違う」