黒ちゃんの問いかけに、唇を噛んでうつむいた。
黎や澪さんだけならまだしも、黒ちゃんに隠し事は通用しないだろう。
けれど口にするのを迷っている私を見透かすように、黒ちゃんが先に言った。
「――涙雨から、真紅が海雨のことを『私のお姫様』って呼んだって聞いた。……海雨は、始祖当主の魂(たましい)だな?」
「! ―――」
黒ちゃんの指摘に、思わず肩が跳ねてしまった。
それを見逃す黒ちゃんではない。
「やはりか……」
「若君、海雨ちゃんは影小路――小路流には関係のない人ですよ?」
澪さんも困惑からか、確かめるようにそんなことを言った。
黒ちゃんは軽く息を吐く。
「始祖当主と始祖の転生は違う」



