「これは真紅嬢、こちらへおいでとは珍しいですな」

小埜家の門を叩くと、澪さんの祖父の小埜古人(おの ふるひと)さんが出迎えた。

「澪さん、いますか? すぐに話したいことがあります」

「澪なら部屋ですが……」

「すみません、お邪魔します」

礼を欠いている自覚はある。けど、今はそれどころではない。

戸惑う古人さんを置き去りにして、澪さんの部屋の襖を開けた。

「え、お嬢さん?」

テキストやらノートやらを手に本棚に向かっていた澪さんが驚きに声をあげた。