たたずんでいた女性に向かって声をかけると、ぽんっとその姿は三毛猫に変わった。

紅は私の許まで駆けてから文句を垂れた。

《巫女様っ。かようなやり方、いい加減お止めください! 巫女様に何かあったら紅はどうすればいいんですかっ》

紅は、今回の昇華対象が私に対して攻撃をしたことを気に病んでいるようだ。

紅は攻撃や防御の術(すべ)を持たない。変化の妖異でしかないから。

「ごめんごめん。でも、今のとここれが私に合ってるから。紅が気を引いてくれるおかげで、私は安心して呪縛紋(じゅばくもん)張れるし」

紅が、対象の胸中にある姿――気を引く姿――に変化して意識を向けさせる。

その隙をついて私が、対象の行動を封じる術を発動させる。

『紅姫』が私と出逢い式になってから、二週間。このスタイルを作っていた。