澪が盛大なため息をついていた。

小埜の家。

澪の部屋の襖が開いていて、澪が机に突っ伏しているのを見てしまった。

素通りした。

「おい待て薄情者」

地を這う様な声で呼ばれて、足を停める。

「なんだ。辛気臭い」

「お前俺にだけ非道すぎだろ! なんでお嬢さんこんな奴に!」

「なんだよ、いきなり。どんな情緒不安定だ」

澪の様子がおかしく、いつもより絡んでくる。何かあったのか。

このまま通りすぎたらまた文句を言われそうだったから、襖に背を預ける。

「明日からのことか? 病院でなんかあったか?」

「……梨実さんにフラれた」