「いい……いいわねえ~っ」

「……梨実さん?」

急に瞳をキラキラさせ出したお母さんに、澪さんは怪訝そうな顔をする。

「わたし恋バナ大っすきなのよっ。でも海雨も真紅ちゃんも今までそういう話全然なかったから淋しかったの」

乙女のように頬を染めるお母さん。

お母さんのこの性格を知っているあたしはため息をついた。

「悪かったね。でもお母さん、真紅はおうちの関係でちょっと大変な時期なんだから、真紅にも黎さんにもヘンなこと言わないでよ?」

「ああ、そう言えばお母さんのご実家に入ったんだっけ? そういうのあるのねえ。で、海雨は? せめて好きな人とかいないの?」

「あたしはそんなことより高校卒業のが目標なのっ」

それにこんな身体じゃ……気落ちしそうになったけれど、そこは母。

すかさずフォローを入れてくれる。