「あ、ありがとう白ちゃん。無炎さんにもお礼言っておいてね」

「? なんで無炎から真紅ちゃんに?」

首を傾げる百合緋ちゃん。

白ちゃんから受け取ったのは一つの手紙だった。

「真紅にはまだ式がいないからね。ちょっと無炎に調べてもらったんだ」

「ふーん。大変だねえ」

式、とは、妖異や精霊の類を自身の配下――使役(しえき)として契約したものを言う。

私はまだ陰陽師見習いもいいとこなので、式を得る段階まで行っていない。

紅緒様は、「式は必ず要るものではないし、まあ、式にほしいと望むほどと出逢えるかも、タイミング次第だと思いますよ」と言っていた。

「でも、無炎さんがここの生徒やってるのには驚いたよ」