「あの、ね?」 「うん?」 黎は穏やかな眼差しで私を見る。 今は隠された、黒い瞳(め)。 黎の血から、鬼人として、吸血鬼としての鬼性(きしょう)がなくなっても、吸血鬼のお母さんから継いだという銀色の瞳の色は変わっていない。 「よ、よかったら、持って行ってほしいものがあるんだけど……」 「真紅をか?」 「! な、なななんて不埒なことを言いますか! 姉様! やはりこやつは真紅に近づけてはなりません!」 「はいはい。落ち着きなさい、紅緒」