「あ、そうだ。みんな聞いてくれ。

 明日バイト先の先輩たちが来るんだけど、

 オレみたいなイケメン揃いだからって

 媚び売るなよ?」


いたずらっ子のような

無邪気な笑顔を浮かべて言う諒くん。



クラスのみんながどっと笑う。



「いくらイケメン相手でも

 媚び売るまではしないでしょ〜。」


明日香ちゃんが笑う。




諒くんは少し考える素振りを見せてから、

わざとらしく眉をひそめる。


「…イブが来ても?」



「…は?え?

 イブってあのイブ…!?」


「そのイブ。」


「バイト先にイブがいるの!?

 なんて羨ましい…!」



「まぁとにかく騒ぎすぎるなよ?

 接客はオレと咲雪でするから。

 他の奴らはしなくていいからな?」


「お近づきになるチャンスなのにぃ…!」



「ってことで解散。

 明日も遅刻欠席なしで頼むなー。」


ざわざわした教室をほったらかしにして

解散させてしまう諒くん。


収集つかなくなってそうだけどいいのかな…。



「咲雪、着替えて帰るぞ。」


「あ、うん。」


控室に向かうため、

喧騒に包まれた教室に背を向けて歩き出した。