【短】愛を語るよりも早く、その口唇を味わいたい。

「ねぇ、好きって言ってよ?」

「…言いません」

「なんで?」

「だって、まだ信じられないし…せんぱいモテるんですもん。いっつもどれだけ私が周りを牽制してるか、知らないでしょう?」


そんなことしてたの?
その事実にびっくりして、ぽかんと口を開けると、はぁと溜息を吐かれた。


「体育館、どれだけ暑くても締め切ってるし、部室にもどこにも、女の子たち集まらないでしょう?」

あぁ、と合点がつく。
確かに、強豪だというのに、キャーキャー黄色い声が飛ぶのは公式戦の時のみだ。

通常の練習の時は、部員の声とボールの音くらいしか、耳にしたことがない気がするし、それ以外にも色々謎だったことが、彼女の言葉で一つずつ解明されていく。

そんなにしてまで、俺のことを思っていてくれたなら…。

「ねぇ…好きって言って?お願いだから…」

「だから、嫌ですってば…」

「俺は、…俺は彩姫ちゃんが好き、だよ?」

「…っ」


既に朱色に染まっている彼女の頬がもっと温度を変えて上昇するのが手に取るように分かった。