手当てをしてもらい、すぐにホテルを抜け出すあたしと宮瀬。


宮瀬はあたしの手を引き、早足に歩みを進める。


「行き先決めてるの?」


「まだだけどとにかくここから離れる」


包帯と一緒に買ってきたマスクで顔を隠し、俯き気味に歩くけど、すれ違う人の視線を感じる気がしてならない。


皆が敵に思えてきて心が重い。


「昨日のこと、朝のニュースでやってた。証拠を消す時間もなかったし、適当なやつを出頭させれる状況でもない」


…警察にも追われることになるんだ。


それに…琴吹組が西条組の人間を二人も殺したとなれば、それだけで組の全面戦争に発展しかねない。


殺した犯人が割れれば西条組は報復に来るかもしれない。