「無難な答えで逃げたな」


……この男、あたしのどこまでを知ってるんだろう。


本当にあたしの全てを知ってるのか、カマをかけられてるだけなのか。


「お前を〝庇った〟のは奴隷が消えるのが面倒なだけだ。これからコキ使ってやるから覚悟しとけ」


……わからない。


全く読めない。


真っ黒いベールですべて覆われていて、何を考えてるのか何一つわからない。


龍美さんとはまた系統の違う〝やりづらさ〟。


あたし、この家でやっていけるだろうか。


〝庇った〟と強調したということは、あたしの嘘を見抜いていたということを強調したいんだろう。


つまり、あたしがスマホを見られたら困ることを見抜いてる。


その理由までもを見抜かれているのかもしれない…。


そう考えると、ゾクッと背筋が凍り付く。


そんなあたしを知ってか知らずか、宮瀬はフッ不敵な笑みを浮かべたのだった。