ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~

ミーナが絶品タコ焼きを作ったことで、この街の人々はタコが美味しく食べられる食材だと知った。

それで、漁船がタコ漁をするようになり、水揚げされた時には市場に並ぶ。

この前のような巨大なものでなくても、この世界のタコは人間の背丈よりずっと大きいので、漁師は大変そうだ。


ライアスは少年を担いでいる方と逆の手に、バスケットを下げていた。

その中身は、テイクアウト用のタコ焼きに違いない。


「ジャンケンで負けて、俺が使いっ走りにされたんだ」と不満げな顔で説明を終えたライアスに、ミーナはクスクスと笑う。

四人でジャンケンをしている姿を想像すると、微笑ましく感じたからだ。

すると肩の上でまだ諦めずにジタバタしている少年が、怒りのこもる声で「なにがレストランだ!」と叫んだ。


「僕んちは食べるものがなくて困ってるのに贅沢しやがって。竜騎士団なんかこの街に来んな! レストランなんか潰れちまえ!」

「この状態でまだ悪態をつけるとは上等だ。マジで牢にぶち込んでやるからな。反省するまで出してやらないぞ」


ライアスは厳しい声で少年を叱り、ミーナから離れて広場へと歩きだした。

広場を南へ抜けた先の港には、国軍の出張所のような詰所があるそうだ。

そこに少年を連れていく気なのではないだろうか。