「ふーむ」と先ほどから唸ってばかりの治癒魔導師に、魔法陣の外に立っているジモンが不安げに問いかける。
「院長先生、娘は大丈夫でしょうか? 以前かけられた呪いの影響がまだ残っているのでしょうか?」
「呪いは完全に解けておる。ふーむ。心臓、眼球、脳波に異常はないな。体内魔力は安定しており血液組成も良好だ。体重は前の入院時に比べると少々増えたようだが、正常の範囲内で問題はない」
院長先生と呼ばれた威厳のありそうな顔つきの中年男性は、ミーナが転生して目覚めた時に、記憶喪失という誤診をした治癒魔導師である。
そのことに少々の不安を覚えつつも、ミーナがおとなしく座っていたら、杖を下ろした院長がジモンに向けて言った。
「ミーナ・コレットはまったくもって健康体だ。動悸や物の見え方に異常を感じたというのは気のせいだろう。だが、連日働きづめだというのはよくない。週に一度は休ませなさい」
診察結果を聞いたジモンは、娘に駆け寄り、「ミーナよかった!」と喜んでいる。
父親に合わせてミーナも笑顔で頷いたが、内心では不安をぬぐえずにいた。
(気のせいにされちゃった。こんなこと言ったら失礼だと思うけど、やっぱりこの治癒魔導師の先生は、ヤブ医者なんじゃないかな……)
もし付き添いがジモンではなく母親のアマンダであったなら、ミーナの訴える症状を聞いて、それは恋だと気づいてあげられたかもしれない。
しかしながら、ここには女心のわからないおじさんふたりと、恋愛経験ゼロの鈍い娘しかいないため、なんの解決にもならなかったのであった。
「院長先生、娘は大丈夫でしょうか? 以前かけられた呪いの影響がまだ残っているのでしょうか?」
「呪いは完全に解けておる。ふーむ。心臓、眼球、脳波に異常はないな。体内魔力は安定しており血液組成も良好だ。体重は前の入院時に比べると少々増えたようだが、正常の範囲内で問題はない」
院長先生と呼ばれた威厳のありそうな顔つきの中年男性は、ミーナが転生して目覚めた時に、記憶喪失という誤診をした治癒魔導師である。
そのことに少々の不安を覚えつつも、ミーナがおとなしく座っていたら、杖を下ろした院長がジモンに向けて言った。
「ミーナ・コレットはまったくもって健康体だ。動悸や物の見え方に異常を感じたというのは気のせいだろう。だが、連日働きづめだというのはよくない。週に一度は休ませなさい」
診察結果を聞いたジモンは、娘に駆け寄り、「ミーナよかった!」と喜んでいる。
父親に合わせてミーナも笑顔で頷いたが、内心では不安をぬぐえずにいた。
(気のせいにされちゃった。こんなこと言ったら失礼だと思うけど、やっぱりこの治癒魔導師の先生は、ヤブ医者なんじゃないかな……)
もし付き添いがジモンではなく母親のアマンダであったなら、ミーナの訴える症状を聞いて、それは恋だと気づいてあげられたかもしれない。
しかしながら、ここには女心のわからないおじさんふたりと、恋愛経験ゼロの鈍い娘しかいないため、なんの解決にもならなかったのであった。