自分への土産ではなかったことに、少々残念そうな口振りであるが、ライアスは頷いてその役目を引き受けてくれた。
青を混ぜた黒い瞳が、緩やかに弧を描く。
いつもは無愛想なほどにクールな彼が、「ミーナは優しいな」と言って、彼女の頭をポンポンと親しげに叩いた。
途端にミーナの鼓動は跳ね、頬が熱くなる。
優しいと他人から評価されるのは、初めてではない。
前世では小料理屋のお客さんたちが、外見上の取り柄のない彼女を、よくそう言って褒めてくれた。
ただ、小料理屋の常連客は中高年男性がほとんどなので、同年代の若者に優しいと言われ、こんなふうにしてもらうのは初体験である。
(頭を軽く叩かれただけなのに、ドキドキするのはどうして……?)
「あれ、あれれ? これはどういうことかな。ライアスは、俺っちのライバルになる気?」
立ち上がったマッキオが、からかうようなことを言ってライアスの顔を横から覗き込むと、クールな表情を取り戻したライアスがミーナに背を向けた。
そして「帰るぞ」と、ドアへ向けてスタスタ歩きだす。
青を混ぜた黒い瞳が、緩やかに弧を描く。
いつもは無愛想なほどにクールな彼が、「ミーナは優しいな」と言って、彼女の頭をポンポンと親しげに叩いた。
途端にミーナの鼓動は跳ね、頬が熱くなる。
優しいと他人から評価されるのは、初めてではない。
前世では小料理屋のお客さんたちが、外見上の取り柄のない彼女を、よくそう言って褒めてくれた。
ただ、小料理屋の常連客は中高年男性がほとんどなので、同年代の若者に優しいと言われ、こんなふうにしてもらうのは初体験である。
(頭を軽く叩かれただけなのに、ドキドキするのはどうして……?)
「あれ、あれれ? これはどういうことかな。ライアスは、俺っちのライバルになる気?」
立ち上がったマッキオが、からかうようなことを言ってライアスの顔を横から覗き込むと、クールな表情を取り戻したライアスがミーナに背を向けた。
そして「帰るぞ」と、ドアへ向けてスタスタ歩きだす。


