(どういうこと? 私は夢でも見ているの……?)


さらに混乱を深める美奈であったが、“転生”という言葉が頭に浮かんできてハッとした。


(そういえば、お店で倒れた後、神様と話をした気がする……)


生まれ変わらせてくれるという話であったように思うのだが、赤ちゃんではなく、ミーナという名の十八歳の女性になったのは、どういうわけなのか。

犬に飛びつかれた神が、『しくじった』と慌てていたのは、このことだろうか。

本来ならば、どこかの女性の、お腹の中に芽生えた命に魂が移るはずだったのに、若くしてこの世を去ったばかりのミーナの体に入ってしまった……ということなのかもしれない。


そう推測した美奈は、慌てだす。

自分の手を両サイドから握っているのは、おそらくミーナの両親なのだろう。

歓喜の涙を流しているところ、大変申し訳ないが、自分はこの夫婦の娘ではない。

それを美奈は、懸命に訴える。


「神様の方で、手違いがあったようなんです。私は日本人で、巣鴨にある、とげぬき一庵という小料理屋の娘です。こんな綺麗な女性の体に入ってしまいすみません。出て行った方がいいですよね? でも、どうしたらいいのか……」