疑問だらけの頭で美奈は、「あの……」と声をかけながらベッドに身を起こした。

すると全員が盛大に驚いて、目の玉が飛び出しそうな顔を美奈に向ける。


「ミーナ!?」と口々に叫ばれて、左右から男女に手を握られた。


「ミーナ!」

「は、はい、美奈です。すみません、ここは一体ーー」

「ミーナが生き返ったぞ。奇跡が起きた! ああ神よ、娘をお返しくださいましてありがとうございます!」


口髭を生やした恰幅のいい男に、“娘”と言われ、ますます混乱する美奈は首を傾げる。

すると枕元に置かれていた鏡がキラリと視界の端に映り、首を捻って後ろを見た。

曇りひとつない円形の鏡面。

そこに映る自分の顔を見た美奈は、「えっ……」と呟き、目を見開いた。


波打つ胡桃色の長い髪に、琥珀色の大きな瞳。

白くなめらかな肌とほっそりとした体に、さくらんぼのような愛らしい唇を持つ美女が映っているのだ。

何度目を瞬かせて鏡を確かめても、ブスだと言われ続け、厚い脂肪で覆われた小料理屋の娘ではない。