不思議なことに、ミーナが一度召喚した食材は、翌日には市場で売られている。

市場の店員に聞けば、遥か東にあるジャポーンという異国から、貿易船で珍しい食材が運ばれてくるのだと教えられたが、それはミーナの知っている日本ではない。

その国の人はミーナたちの半分ほどの背丈で、全員がちょんまげ頭。背中に鳥のような羽を生やして、空を飛んでいるらしいから。


この世界は不思議なことだらけで、日々驚きの連続であるけれど、ミーナは細かな理屈などは気にせず、そういうものなのだと、すんなり受け入れている。

彼女は料理が作れさえすれば、それでいい。

今も召喚したばかりの青のりの袋を抱きしめ、はしゃいでいたら、コック長が近づいてきた。

「ミーナお嬢さん、それはなんですか?」と、興味深げに問いかける。


「青のりです。お好み焼きやタコ焼きの仕上げに振りかけたり、おにぎり、卵焼きに入れてもいいんですよ。風味が増して色も綺麗です。そうだ! 後で市場に買い物に行ってきますね。昨日ちくわを召喚したから、きっと今日、売られるはずだもの。青のりとちくわで磯辺揚げを作ります」