広い調理台に向かい、美奈は頭を抱える。
(神様、これは私の望みとは違います。もしかして、これに関してもしくじったんですか? あんまりです……)
魂が宿るべき肉体を間違えられただけではなく、飛ばされた世界そのものに誤りがあったのではないかと美奈は落ち込む。
そして、毎日のように父と並んで立っていた小料理屋の調理場が恋しくなる。
ここよりずっと狭いけど、なんでも揃っていて、たくさんの料理を不便なく作ることができた。
倒れる直前につまみ食いした唐揚げの味が、二度と手の届かない宝物のように思い出される。
とげぬき一庵の唐揚げは、生姜とニンニク、醤油を揉み込んで下味をしっかりつけ、片栗粉の衣を纏わせたものだ。
お客さんからも大人気で、注文が入らない日はなかった。
この世界でなにを作ればいいのかと、ほとほと困り果てた美奈は、頭に醤油のボトルを思い浮かべていた。
「ああ、せめて、醤油だけでもあったなら……」
祈るような心持ちで胸の前で指を組み合わせ、美奈がそう呟いたら……。
(神様、これは私の望みとは違います。もしかして、これに関してもしくじったんですか? あんまりです……)
魂が宿るべき肉体を間違えられただけではなく、飛ばされた世界そのものに誤りがあったのではないかと美奈は落ち込む。
そして、毎日のように父と並んで立っていた小料理屋の調理場が恋しくなる。
ここよりずっと狭いけど、なんでも揃っていて、たくさんの料理を不便なく作ることができた。
倒れる直前につまみ食いした唐揚げの味が、二度と手の届かない宝物のように思い出される。
とげぬき一庵の唐揚げは、生姜とニンニク、醤油を揉み込んで下味をしっかりつけ、片栗粉の衣を纏わせたものだ。
お客さんからも大人気で、注文が入らない日はなかった。
この世界でなにを作ればいいのかと、ほとほと困り果てた美奈は、頭に醤油のボトルを思い浮かべていた。
「ああ、せめて、醤油だけでもあったなら……」
祈るような心持ちで胸の前で指を組み合わせ、美奈がそう呟いたら……。


