躊躇なく厨房に踏み入れば、十六畳ほどの空間が広がっていた。
西欧の田舎町にあるような味わい深い木目の大きな調理台に、タイル張りの壁。
シンクは陶器製で、素朴なコンロやオーブンが数台並んでいる。
鉄鍋やフライパン、まな板に包丁と、美奈がよく見知っている調理器具も揃っているようだ。
白いコック服の男女が六人いて、突然飛び込んできた美奈に、驚いたような顔を向けている。
「ミーナお嬢さん、どうしたんですか?」と声をかけたのは、五十代に見える一番年長の調理人で、おそらく彼がコック長だと思われた。
「すみません、お邪魔します。ローストチキンをいただきましたが、はっきり言って食材が可哀想です。私に作らせてください。美味しい料理をお客さんに食べてもらおうと思います」
「お嬢さんが、料理を作る……!?」
ミーナは働くことを嫌がっていたというし、これまで一度も厨房に立ったことがないのではないだろうか。
コック長をはじめとした皆が驚き戸惑っているところを見ると、それが窺えた。
自分の中身はミーナではないと教えてあげたいところだが、今の美奈にはそこまで説明している余裕がない。
気持ちの全ては、早く料理を作りたいという溢れんばかりの情熱に支配されているのだ。
西欧の田舎町にあるような味わい深い木目の大きな調理台に、タイル張りの壁。
シンクは陶器製で、素朴なコンロやオーブンが数台並んでいる。
鉄鍋やフライパン、まな板に包丁と、美奈がよく見知っている調理器具も揃っているようだ。
白いコック服の男女が六人いて、突然飛び込んできた美奈に、驚いたような顔を向けている。
「ミーナお嬢さん、どうしたんですか?」と声をかけたのは、五十代に見える一番年長の調理人で、おそらく彼がコック長だと思われた。
「すみません、お邪魔します。ローストチキンをいただきましたが、はっきり言って食材が可哀想です。私に作らせてください。美味しい料理をお客さんに食べてもらおうと思います」
「お嬢さんが、料理を作る……!?」
ミーナは働くことを嫌がっていたというし、これまで一度も厨房に立ったことがないのではないだろうか。
コック長をはじめとした皆が驚き戸惑っているところを見ると、それが窺えた。
自分の中身はミーナではないと教えてあげたいところだが、今の美奈にはそこまで説明している余裕がない。
気持ちの全ては、早く料理を作りたいという溢れんばかりの情熱に支配されているのだ。


