ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~

「この私を忘れたとは驚きだ。それとも、とぼけているのか?」

「い、いえ、決してとぼけたり、ふざけたりしていません!」


誤解を与えてしまったと焦るミーナは、近づいて話そうと足を一歩前に進めた。

それを止めたのは、ライアスだ。

ミーナの手首を握り引き戻した彼は、黒マントの男を警戒して、腰の剣に指をかけている。


庶民なら、竜騎士団の彼に戦闘態勢を取られたら、怯むはずである。

しかしながら黒マントの男は鼻で笑い飛ばし、不気味な声を港に響かせた。


「忘れたのなら思い出させてやろう。この私を侮辱し、死の呪いをかけられたことをな!」


それを聞いてミーナはやっと、男の正体に気づいた。

彼は黒魔導師だ。

ミーナが転生する前、この肉体に宿っていた元の魂は、黒魔導師の呪いによって死へと追いやられてしまった。

それというのも、ミーナの美貌に惹かれて求婚した黒魔導師を、人前でこっぴどくふって嘲笑い、恥をかかせたといった経緯があったためだ。

今のミーナは別人格の転生者であるから恨まれる筋合いはないのだが、残念ながらそれを説明している暇はないようである。


黒魔導師は懐から杖を取り出すと、宙に円を描き呪文を唱えた。

すると魔法陣が出現し、不気味な紫色に光りだす。