ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~

過去を懐かしみ、華やかな夜空に見惚れるミーナは道の真ん中で足を止め、ライアスもそれに合わせた。

当然のことながら、彼は花火に懐かしさも思い出もないはずだ。

けれども凛々しい瞳はほんの少し弧を描き、しみじみとした口調で言う。


「攻撃以外の目的で、魔術を使うのもいいものだな。俺も参加して、ミーナを喜ばせたかった」

「私を……?」


鼓動が大きく跳ねて、ミーナは頬を熱くする。

ライアスの視線が花火からミーナに移り、絡み合った。

道沿いの民家からは住民たちが外に出てきて、大人も子供も花火に歓声を上げているけれど、ミーナの耳には入らない。

ただライアスの瞳に映る花火を見つめ、その美しさに心をときめかせていた。


無言で見つめ合っていたのは、十秒ほどだろうか。

ライアスの頬が微かに赤みを帯びたら、それを隠すように彼は先立って歩きだした。


「港に出るぞ」


足早に進む彼の後を、ミーナは小走りで追い、そして海風が吹き寄せる港に到着した。

花火はまだ咲き続けていて、円形のものだけではなく、滝のように火の粉が降り注ぐものや、ハートや星形といった変わり種も打ち上げられる。

この世界ではきっとできないだろうと思いつつも、日本には変わった花火もあったと竜騎士たちに伝えていたのだが、それを実現して見せるとは恐れ入る。