ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~

すると、ミーナの母親のアマンダに、「粉屋に砂糖と塩コショウが置いてあったでしょう?」と言われる。

父親のジモンは、懐から懐中時計を取り出し、時間を気にしている様子で答える気はないようだ。


「あの、ターメリックやナツメグ、オレガノなどの香辛料や、ケチャップやマヨネーズは? 味噌と醤油があれば最高なんですけど、日本じゃないからそれは難しいでしょうか。でも港町なら、魚醤はありそうな気がするんですけど」


美奈が具体的な調味料の名を挙げて尋ねても、ふたりは娘がまたおかしなことを言っているとばかりに、顔を見合わせるのみ。

調味料については教えてくれず、「もう帰るぞ」とジモンに言われてしまった。


「ザックに任せてきた店が心配だ。ミーナの呪いが解けたのだから、わしらも働かないと」


立ち上がったふたりに挟まれ、促されて歩きだした美奈は、「ザック? 店?」と質問を重ねる。


「ザックは二歳上のお前の兄だ。お前とザックのふたり兄妹。顔を見て思い出してくれるといいが……。店は、着けばわかるさ」


ジモンはやれやれと言いたげに嘆息し、美奈はあれこれと聞きすぎたかと反省する。

それからは、北へと延びる広い石畳の道を無言で五十メートルほど歩いて、ジモンが「そこだ」と言った場所で美奈は足を止めた。