市場で引ったくりやスリをしたのは、今回だけではないらしい。
最初は女の子の姿のまま買い物客の手提げバッグを奪ったら、被害者の中年女性はケイシーが盗品を放り投げるまで、しつこく追いかけてきたそうだ。
けれども男の子の格好で同じことをすると、足が速く持久力もありそうに見えるのか、被害者は早々に諦めて追うのをやめるらしい。
それを聞いてミーナは、ショルダーバッグを奪われた時のことを思い返す。
必死にケイシーを追いかけたが、開く一方の距離に、この体は運動に不向きだと悟った。
それでも、極度に鈍足だとまでは思っていなかった。
相手が子供であっても、男の子は足が速いという思い込みがミーナの中にもあったためだ。
しかしながら実際は女の子であったわけで、そのことにミーナは少なからずショックを受けている。
(九歳の女の子に、全力のかけっこで負けたなんて、恥ずかしい……)
「私って、のろまなんだ」とボソリと呟いたら、すっかりお弁当を食べ終えて緑茶を飲んでいるライアスがプッと吹き出している。
ケイシーには、「お姉ちゃんはのろまじゃないよ。私は近所の年上の男の子より足が速いから……」と慰められてしまい、ますます恥じ入るミーナであった。
最初は女の子の姿のまま買い物客の手提げバッグを奪ったら、被害者の中年女性はケイシーが盗品を放り投げるまで、しつこく追いかけてきたそうだ。
けれども男の子の格好で同じことをすると、足が速く持久力もありそうに見えるのか、被害者は早々に諦めて追うのをやめるらしい。
それを聞いてミーナは、ショルダーバッグを奪われた時のことを思い返す。
必死にケイシーを追いかけたが、開く一方の距離に、この体は運動に不向きだと悟った。
それでも、極度に鈍足だとまでは思っていなかった。
相手が子供であっても、男の子は足が速いという思い込みがミーナの中にもあったためだ。
しかしながら実際は女の子であったわけで、そのことにミーナは少なからずショックを受けている。
(九歳の女の子に、全力のかけっこで負けたなんて、恥ずかしい……)
「私って、のろまなんだ」とボソリと呟いたら、すっかりお弁当を食べ終えて緑茶を飲んでいるライアスがプッと吹き出している。
ケイシーには、「お姉ちゃんはのろまじゃないよ。私は近所の年上の男の子より足が速いから……」と慰められてしまい、ますます恥じ入るミーナであった。


