ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~

(そういえば、お弁当を作るのは随分と久しぶりだわ。いつ以来かな……)


それはおそらく二年ほど前のことで、小料理屋の常連の、高齢男性客に頼まれた時だろう。

娘さんがふたり目の子供の出産で入院したため、幼稚園に通うお孫さんを預かったそうだが、お弁当の壁にぶつかったそうだ。

子供向けのお弁当は難しく、男性客の奥さんが作ったものは食べてくれなかったという事情があった。

それで美奈が一週間、幼稚園児向けの可愛いお弁当を手作りし、毎朝届けてあげたのだ。

もちろん喜んで食べてもらえて、彼女も嬉しかった思い出がある。


(さっきの少年は十歳くらいだから、見た目の可愛さだけじゃ喜んでもらえないよね。ライアスさんはなんでも食べてくれそうだけど、期待以上のものを作りたいし……)


料理について考え出すと、ミーナはすぐに夢中になって、他のことに気が回らなくなる。

今日は休めと父親に言われていたことや、体調不安を感じていたことは頭の隅に追いやられ、自宅へ向かう足取りは自然と速まるのであった。