結局。

私達は別々の道を歩き始めた。

互いをそれぞれ違った形で傷付け合って…。


彼は私よりももっと近くにいて、仕事の出来る彼女の肩を抱いた。

あれほど、息が切れるくらいに好きだったはずなのに、私はそれを敢えて許してしまった。

操り人形のように、泣きながら踊り続ける私は、滑稽なピエロのようで…それでも、彼を止めることはしなかった。

それが、私のなけなしのプライドだったから…。


もう、再会はない…。
きっと、よりを戻すことも。



私は、そんな別れの後…今でも一人の生活を続けている。
気紛れに温もりだけ求めた彼…久志とは、やっぱり今も親友の延長線上にいて、それ以上でもそれ以下でもなかった。


どんなに振り回されても、そこに愛なんてどこにもなくても、もう…全てを振り切って笑うしかなくて。

そんな私に手を差し伸べてくれるのは…彼の代わりになるのは、もう誰もいないけれど…。

未練がましく、愛を求めることは自分の中で許せない。

だから…。


「さよなら…私のヒデくん…」

そう、呟いて…一度だけ瞳を伏せてほんの少しだけ浅い呼吸をすると、前を向いて歩き出したんだ。


愛しい一年と七ヶ月を胸に抱きながら…。


永久の愛という日々を、胸に仕舞って…。




Fin.