ルーカもその問題によって、本来よりも低い立場にいる。


城の見習い兵として雇われてはいるが、ルーカの腕は騎士団長の右腕に匹敵するほど強い存在。


だけど、亜人だからといった馬鹿馬鹿しい頭の悪い大人達の圧力によってルーカはずっと見習いのまま。


ルーカが一人前の兵士になれたその日には、私から鎧をあげる約束も昔からしているのに、それは未だ叶えられていない。


ちゃんと……立派な騎士になったその時は、私の側近として迎える、そう約束もしているのに。



「ルーカ、いつになったら私の傍に来てくれるの……?」



この言葉はルーカにはただのわがままだというのに思わず声に出してしまい、はっとしているとルーカはそっと笑って指を絡ませた。



「今、ちゃんとリルの隣にいるよ」



私のその愛称で呼ばれると、嬉しさと共に何か壁に阻まれているように感じて、少し寂しくなる。


ルーカの本当の気持ちを私は知らない。


ただの仲のいい兄妹のような関係なのか、それとも……私だけの一方通行なのか。