日々、まだまだ慣れない講義で頭をもまれ、渡される課題を何とかこなしている間に、気が付くと六月に入っていた。梅雨はまだだけどジワジワと気温が上がりつつある、そんな火曜日の朝。
「ハル、じゃあ行ってくるね?」
「いってらっしゃい。……ごめんね、課題、お願いします」
昨日の夜から微熱が下がらないハルは、ベッドの中からオレに手を伸ばした。
その手をキュッと握って、ハルの額に唇を寄せる。
熱こそ高くないけど、顔色は良くないしとてもだるそうで心配になる。
「大丈夫、ちゃんと渡しておくから。ハルはゆっくり休んでね? 具合悪くなったら、沙代さんに言わなきゃダメだよ?」
「ん。ちゃんと言うから心配しないで?」
ハルは笑みを浮かべてオレを見る。
「それに、おじいちゃんが出勤前に寄ってくれるのでしょう?」
「そうだった」
朝イチでじいちゃんに電話したのは自分だというのに、ハルに言われてようやく思い出す。お義母さんは残念ながら学会とやらで昨日から出張中。明日にならないと帰らない。
「だからね、心配しなくても本当に大丈夫。これくらいなら、今日一日寝ていたら治るから」
「うん」
そうは言っても、心配はするのだけど。
だけど、これ以上はハルに要らぬ気遣いをさせるだけだから、何も言わず、オレはそっとハルの頭をなでた。ふわふわ柔らかいハルの髪は今日も気持ちいい。
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
「ん。ノートもちゃんと取ってくるな」
「ありがとう」
ハルはニコリと笑い、オレは後ろ髪を引かれながら部屋を出た。
「ハル、じゃあ行ってくるね?」
「いってらっしゃい。……ごめんね、課題、お願いします」
昨日の夜から微熱が下がらないハルは、ベッドの中からオレに手を伸ばした。
その手をキュッと握って、ハルの額に唇を寄せる。
熱こそ高くないけど、顔色は良くないしとてもだるそうで心配になる。
「大丈夫、ちゃんと渡しておくから。ハルはゆっくり休んでね? 具合悪くなったら、沙代さんに言わなきゃダメだよ?」
「ん。ちゃんと言うから心配しないで?」
ハルは笑みを浮かべてオレを見る。
「それに、おじいちゃんが出勤前に寄ってくれるのでしょう?」
「そうだった」
朝イチでじいちゃんに電話したのは自分だというのに、ハルに言われてようやく思い出す。お義母さんは残念ながら学会とやらで昨日から出張中。明日にならないと帰らない。
「だからね、心配しなくても本当に大丈夫。これくらいなら、今日一日寝ていたら治るから」
「うん」
そうは言っても、心配はするのだけど。
だけど、これ以上はハルに要らぬ気遣いをさせるだけだから、何も言わず、オレはそっとハルの頭をなでた。ふわふわ柔らかいハルの髪は今日も気持ちいい。
「行ってらっしゃい。頑張ってね」
「ん。ノートもちゃんと取ってくるな」
「ありがとう」
ハルはニコリと笑い、オレは後ろ髪を引かれながら部屋を出た。