「皐月くん、すごい汗だよ。もしかして走って……帰って来てくれたの……?」
「お前が、泣きながら、助けてとか言うからだろ……ハァ、いったいなにがあったんだよ」
「え、電話で……話した、よ……?」
「は?」
「あれ、もしかして、聞いてなかった……?“いまどこだ?”って皐月くんに聞かれたあと、家にいるって言って、ブレーカーが落ちて真っ暗になっちゃって、暗闇の中で頭ぶつけて……それがすごく痛くて……」
「……もしかして、それで泣いてたのか?」
「……はい。なんかごめんね、走って帰って来てくれたのに本当にごめんなさい!!ブレーカーの上げ方分からないし、頭痛いし、咄嗟に皐月くんに電話してしまって……」
申し訳なさそうに瞳を揺らす胡桃。限界だった俺の足はそこで一気に力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
「皐月くん、本当にごめんなさいっ!これからは電話するとき気をつけるから!本当に迷惑かけてごめんなさい……」
「……」
胡桃の再び泣き出しそうな声音が聞こえる。こんなに走ってバカみたいだ俺。でも、胡桃のことになるとすぐテンパる俺って相当情けない。
目の前にしゃがみ込み、不安な色を帯びた胡桃の顔が俺の顔を覗き込む。お前は多分、俺が怒ってると思ってんだろ?



