リカコは大きく目を見開いて動きを止めていた。


呼吸すら止めていたかもしれないが……あたしはリカコの耳たぶにハサミを入れた。


切れ味のいいハサミは弾力のある耳たぶをスッと切り裂いた。


さすがに切断するほどではなかったが、鮮明な血が一筋流れおちて行く。


その瞬間、あたしの下にいたリカコが暴れだした。


「ちょっと!」


突然暴れ出したリカコにスズが手を離してしまった。


「キャアアアア!」


鼓膜が破れるようなリカコの悲鳴が、周囲に響き渡る。


まずい!


そう思った時だった。


自分でも無意識の内にリカコの頬を殴っていた。


肌を打ちつける音が響き、そのまま横倒しに倒れるリカコ。


脳震盪でも起こしてしまったのか、リカコは目を閉じたまま起き上がろうとしなかった。


「早く逃げよう!」


サチの言葉で我に返り、あたしたちは校舎裏から逃げ出したのだった。