「サチ。ハサミ貸して」


「もちろん」


ハサミを何に使うかなんて、聞かなくてもわかるんだろう。


サチはすぐにハサミを渡してくれた。


あたしはハサミの刃をリカコの眼前にかざし、何度か動かして見せた。


その度に太陽の光で刃がギラギラと嫌な輝きを見せる。


あたしはリカコの前髪をもう1度鷲掴みにして、ハサミを握りしめた。


「この前髪、本当にうっとうしいよね。綺麗にしてあげるよ」


あたしはそう言って、前髪の根元にハサミを押し付けた。


リカコが大きく目を見開く。


その奇妙に歪んだ目元を見ると、吹きだしてしまいそうになった。


そして次の瞬間、ジャキンッと音がしてリカコの前髪を切っていた。


根本から切り落としたため、まるでサルみたいだ。


「あははははは!!」


我慢できなくなったサチとスズが大声で笑い始めた。


「ちょっと、そんなに笑ったら誰か来ちゃうでしょ」