あたしたち2人が屋敷へ戻ってきた時、スズが気絶したままのマキを見下ろしていた。


「段ボール箱買って来たよ。スズはこれに着替えて」


ホームセンターに売っていたカッパだけれど、服を隠すには十分だった。


「ねぇ、さっきからマキが動かないの」


あたしが差し出したカッパを受け取りながら、スズが言った。


「え? 気絶してるからでしょ?」


「それが……呼吸してないみたいで……」


そう言い、青ざめるスズ。


「嘘っ……!」


慌ててマキの胸に自分の耳を押し当てた。


聞こえて来るハズの心音が聞こえてこない。


手首を握りしめて脈を確認するが、少しも動いていないのがわかった。


「ちょっと、マキ!?」


頬を叩いて目を開けさせようとするが、マキはキツク目を閉じたままで動かなかった。


「死んじゃったんじゃないの!? どうすんの!」


サチが大きな声を上げるので、「声を出さないで!」と、睨み付けた。