できない……?
初めてあった日、キョンが「見えない」と泣いたことを思い出した。
「見えない」……確か、キョンは、『数字』というワードを口にしていた気がする。
「キョン、それはどうして?」
テーブルに体重を預けていた身体を直立の姿勢にもどすキョン。
そして、ちいさく息をもらした。覚悟を決めた、ような雰囲気をまとって。
「やっぱり、あなただけ見えないのよ……」
ゆっくりと振り向き、俺の頭の上に視線をもっていって、そして肩へ流す。
「見えない」――これはどういう意味なんだろう。
「私の左目、数字が見えるのよ。それで占いをしているの」
自分の存在を確かめるような口調だった。
一言でも言い間違えればどこかに消えてしまいそう、そんな危うさを孕んでいた。
数字……。
意味がわからない。数字が見える?
「数字って、1とか、2とかって数字?」
「そうよ。1は『愛』、2は『誕生』。
これは、私の今までの経験からの統計だけれど、私は、暗示、と呼んでいるわ」
暗示……?
「キョン、ちょっと待って。
今、ひっぱり出してみるから」
キョンは、悲しそうな、寂しそうな、表情を浮かべた。
ごめん、キョン。少しだけ……。
数字――。
目をつぶって、額に手を当てた。
頭の中がきゅううっと伸縮する感覚におちいる。
初めてあった日、キョンが「見えない」と泣いたことを思い出した。
「見えない」……確か、キョンは、『数字』というワードを口にしていた気がする。
「キョン、それはどうして?」
テーブルに体重を預けていた身体を直立の姿勢にもどすキョン。
そして、ちいさく息をもらした。覚悟を決めた、ような雰囲気をまとって。
「やっぱり、あなただけ見えないのよ……」
ゆっくりと振り向き、俺の頭の上に視線をもっていって、そして肩へ流す。
「見えない」――これはどういう意味なんだろう。
「私の左目、数字が見えるのよ。それで占いをしているの」
自分の存在を確かめるような口調だった。
一言でも言い間違えればどこかに消えてしまいそう、そんな危うさを孕んでいた。
数字……。
意味がわからない。数字が見える?
「数字って、1とか、2とかって数字?」
「そうよ。1は『愛』、2は『誕生』。
これは、私の今までの経験からの統計だけれど、私は、暗示、と呼んでいるわ」
暗示……?
「キョン、ちょっと待って。
今、ひっぱり出してみるから」
キョンは、悲しそうな、寂しそうな、表情を浮かべた。
ごめん、キョン。少しだけ……。
数字――。
目をつぶって、額に手を当てた。
頭の中がきゅううっと伸縮する感覚におちいる。



