先輩なんて呼ばせない



***


「陵ちゃん発見!」


校舎はコの字型になっていて、私の教室から中庭を挟んだ向こう側の一つ上の階に 陵ちゃんの教室がある。


一時間目が終わり、廊下の窓に背をつける陵ちゃんの姿が見えて、思わずはしゃいだ声を出してしまった。


「後ろ姿でわかるって、どれだけ好きなのよー」


「普通わかるよね?」


大抵休み時間になると、陵ちゃんは廊下へ出てくる。


席が窓側なのをいいことに、私は席も立たずに頬杖をついてぼーっと眺める。


「そうかなー。私はリクをうしろ姿でわかるかって言ったらわかんないけどね」


肩をすくめる亜子には、リクくんという彼氏がいるんだ。


「あ……」


そのとき、女の先輩が陵ちゃんに話しかけているのが見えて、胸が鈍い痛みを覚えた。