先輩なんて呼ばせない



「へっ……?」


そうなの?  


単なる誤解だった……?


「やだっ……」


とんでもない勘違いをしていたんだとわかり、恥ずかしくなる。


「ん?」


今度は、陵ちゃんが首をかしげる番。


「陵ちゃんに彼女ができちゃったと思って、それで、私……」


言いながら、ぶわっと涙があふれてきた。


だって、安心して。


「それって、期待していいってこと?」


覗き込むようにして問いかけてくる陵ちゃんの声が、鼓膜を優しく震わせる。


ドキドキ……。


もうっ……どうしよう。


「ねえ、俺の目見て?」


言われ、見上げると。


そこには大好きな陵ちゃんが、見たこともないくらい穏やかな目で私を見つめていた。


……胸が、いっぱいになる。